酸素は、人間の生体活動に無くてはならないパートナーである。呼吸や思考、心臓の鼓動まで欠かすことの出来ないエネルギー生産活動を司っている。しかし同時に、酸素は時として強力な敵として人体を害することがある。体内に取り込まれ、エネルギー生産活動であぶれた酸素は、不安定な分子構造をもつ、いわゆるフリーラジカルとして健全な細胞を損傷してしまう。このフリーラジカルは、老化を進行させたり、アルツハイマー氏病、パーキンソン氏病、糖尿病、白内障、関節炎等の病気の原因となったり、それらの症状を悪化させることで知られている。
人体には、このフリーラジカルが細胞組織を攻撃する前に中和・無力化させる生体機能があり、これが抗酸化システムと呼ばれるものである。健康な状態を保つためには、体内抗酸化群とフリーラジカルが、一定の割合で均衡を保たなければならないのだが、残念なことにこの体内抗酸化システムは、年齢とともに衰えてゆくので、必要な抗酸化栄養素を外部から補ってやる必要が出てくる。
自然界には、およそ数百種類以上の抗酸化物質があり、そのうちいくつかは体内で生成される一方で、食物あるいはサプリメントとして摂取されるものもある。体内で製造された、あるいは取り入れられた抗酸化物質は、種類の違う抗酸化物質同士が相互作用的にフリーラジカルを監視し、必要とあればそれを無力化するために活動している。体内で抗酸化物質が相互作用的に働く理由は、ひとつの抗酸化物質が他の抗酸化物質を再利用もしくは再生させることによって、性質によって幾種類かに分類されるフリーラジカルに対する抗酸化力を保持することにある。これら抗酸化ネットワークのうちで、重要な抗酸化栄養素は5種類あり、これらがビタミンC・ビタミンE・補酵素Q10(CoQ10)・アルファリポ酸(リポ酸)・グルタチオンである。
細胞膜は脂肪や脂質成分で構成されているが、細胞膜を酸化から守るには、脂溶性の性質をもつビタミンEや補酵素Q10が役に立つ。また、細胞内部にあっては水溶性のビタミンCやグルタチオンがフリーラジカルの攻撃を抑えることになる。一方でアルファリポ酸は細胞膜と細胞内部の両方で働き、他の抗酸化栄養素を再生する働きを併せ持つ。
抗酸化相互ネットワークの働きについて、ビタミンEを例にとってみると、ビタミンEがフリーラジカルを取り込み、無害化する過程で、今度はビタミンEそのものが弱いフリーラジカルとなる(ビタミンEラジカル)。しかし、このビタミンEラジカルは、ビタミンCや補酵素Q10によって電子を分け与えてもらうことにより、再び元のビタミンEとして再生されるのである。
抗酸化のサプリメントが複合的に摂るべきであるといわれる理由もまさにここにあり、かつそれぞれの栄養素は独自の機能もあわせ持つ。
フリーラジカルは、本来ウイルス等の外敵の体内への侵入をブロックする働きがあるのだが、現代人の生活は、フリーラジカルの抑制役となる体内抗酸化酵素が低下する傾向があるといわれる。特に喫煙者、飲酒好きの人、都会に住んでいる人、有酸素運動をしている人は、前述の抗酸化栄養素を複合的に摂取する必要があると思われる。
■「アルファリポ酸」
■「ビタミンE」
■「ビタミンC・チュアブル」
■「コエンザイムQ10(CoQ10)」
■「グルタチオン」
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