SAMe(S-アデノシルL-メチオニン)は、もともとヨーロッパで専ら医薬品としてのみ存在してきたもので、L-メチオニンというアミノ酸の一種なのですが、抗酸化作用、心臓の疾病予防、関節炎のケア、抗鬱作用、不眠症の解決、肝臓の保護、腰痛・偏頭痛の解消、慢性疲労症候群の治癒とこれほどまでに多岐にわたって、プラスの改善結果が報告されている栄養素も少ないでしょう。SAMe(サミー)の摂取が人体のさまざまな部分に影響を及ぼす理由は、主にその「メチル化」というアミノ酸代謝によるものと考えられています。「メチル化」とは、外部から取り入れられたタンパク質がアミノ酸分解代謝の過程で一時的に生じる<ホモシステイン>という有害アミノ酸を有益な他のメチル化合物へと変換する過程を指し、こうしたメチル化過程に必要な栄養素がメチル基です。ところが、年齢とともに次第にこの「メチル化」の体内の力は減少してゆき、体外からより多くのメチル基を摂取する必要性が高まります。メチル基には、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ベタイン(TMG)などがありますが、SAMeはこれらよりもはるかに強力なメチル化能力を有しています。
人体の中でSAMeが生成されるのは、L-メチオニンが細胞内エネルギー貯蔵庫、ミトコンドリアでATPと結合したときに生まれ、効率的にSAMeを体内で生産するためには、メチオニンを多量に含む、良質のタンパク質と同時にビタミンB6、B12、葉酸といった代謝に必要な栄養素を摂らなければ行けません。
▼抗鬱、不眠
SAMeについては、現在までに3000以上の学術論文も含む論評が発表されていますが、SAMeの有する健康作用の中で、最も有名なのが抗鬱作用です。ある臨床実験では一般的な抗鬱薬(インプラミンやデシプラミンなど)とSAMeを比較して一定期間投与し、結果SAMeの方がより効果的な改善結果がみられたと報告しています。また、多動症や集中力欠如による障害に対しても、SAMeの脳内でのメチル化効果が改善に働くことが明らかになっています。睡眠障害に対してSAMeが有効に働くのは、脳内伝達物質セロトニンがメラトニンへ変換するのを助ける酵素の生成にSAMeが必要であるからであると考えられています。
▼関節炎の緩和
SAMeが関節炎の痛みを和らげてくれるといわれるのは、SAMeには、炎症を引き起こす化合物の生成を抑制するためであると考えています。1985年イタリア大学の研究グループは、150人の関節炎患者を対象に服用医薬品であるイブプロフェンと比較して、SAMeの投与実験を2重盲目式で行いました。30日間、400mgを1日3回(1200mg)2つのグループに分けて投与したところ、SAMeを投与したグループの方が、顕著な副作用もみられず、良好な結果を得られました。さらに20641人の大規模な臨床実験では、再び関節の痛みに対して改善結果が報告されています。 この実験では最初の1週間は1日400mgを3回摂り、次の2週間目からは1日400mgを2回、続く3週間目から8週間目までを1日200mgを2回継続して、SAMeを摂取しました。研究者が明らかにしたのは、71%の患者に優れた改善結果が見られ、21%の患者にわずかな改善兆候が見られたそうです。
▼肝臓サポート
SAMeは、「活性化された」L-メチオニンであり、SAMeの摂取は、肝臓内に多く存在する抗酸化栄養素であり、グルタチオン濃度を高める力を持っている。同時に胆汁の生産を促し、肝臓の毒素排出効果を高めます。最近カリフォルニア州で発表された報告によると、アルコール性の肝硬変の改善にSAMeが効果があったとしています。
▼SAMeを効果的に摂取するには
多くの研究者が推奨するSAMeの摂取方法は、最初の2日間はまず、200mgを1日2回摂ることからはじめ、3日目から400mgを1日2回に増量し、2週間目以降は、400mgを1日3回(1200mg)摂るようにします。そしてもし必要ならば、4週間目以降は、400mgを1日4回(1600mg)まで増やしてゆきます。そして健康上の改善がみられたら、200〜400mgを1日2、3回摂るようにして下さい。また摂取のタイミングは空腹時の方が良いようです。
SAMeは、非常に湿気に弱く、分子的に不安定な性質を有するため、通常のサプリメントの場合では、50%のSAMeに対して残り50%は安定剤を配合しています。また、腸内で吸収させる「エンテリック・コート」加工された商品を選ぶことも重要なポイントです。
■「SAMe(S-アデノシルL-メチオニン)」
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