仕事やら何やらで気がついたら毎日のようにアルコールを口にしているということはありませんか? お酒は、血行を良くするという事以上に、脳と肝臓に痛烈な打撃を与えます。アルコールが体内で分解されてできるのが、アセトアルデヒドと呼ばれる有害物質で、これが過度の飲酒で生じる二日酔いの原因物質であると考えられています。性質が悪いことに、このアセトアルデヒドは、体内で他の物質と結合して一種の麻薬性の物質を作り出しますので、お酒を常習的に飲めば飲むほど、アルコールを摂取する欲求をますます強めてしまうことになり、最悪の場合、アルコール依存症に陥ってしまいます。
とはいえども、お酒好きの人にとって、すぐには止められないもの。そこで今回はお酒を楽しみながら、栄養素・サプリメントの観点から、その害毒を最小限に食い止めるにはどうしたらよいか、を考えてゆきたいと思います。
まず、アセトアルデヒド生成を直接的に減少させるビタミンとして、ビタミンB群の一種である「ナイアシン(ナイアシンアミドでもよい)」があります。お酒の弱い人は、まずナイアシンを含んだビタミンBコンプレックスを100mg程度摂るべきです。また、人体にはアセトアルデヒドを無害化する酵素システムがあり、この肝臓に存在する酵素、アルデヒド・デハイドロナーゼの作用を強化する働きの栄養素を積極的に摂るのもひとつの方法です。こうした栄養素にやはりビタミンB群の一種であるパントテン酸やNアセチル・システイン(NAC)等があります。ただし、アルデヒド・デハイドロナーゼ酵素は欧米人に比べて、日本人を含むアジア人は民族的に働きが弱いといわれています。その意味では日本人の場合にとって、アルコール毒素排出にはむしろ前述のナイアシンの方を優先して摂取すべきなのかもしれません。
一方でアルコールの代謝が盛んに体内で行われると、亜鉛が不足するのが知られています。このミネラルもまたアルデヒド・デハイドロナーゼ酵素をコントロールしていると考えられています。同時にアセトアルデヒドに対抗するのにビタミンAやビタミンC,Eあるいはセレニウムを積極的に補給するのも推奨されています。慢性的なアルコール依存症の場合には、これらの栄養素は不足しており、ビタミンCは血液中のアルコールを除去する働きがあると考えられており、ビタミンEやビタミンAはアルコール分解によって肝臓内で不足するのが知られています。またセレニウムは、肝臓を保護する役目のある酵素、グルタチオン・ペルオキシダーゼを活性化する働きがあります。
これらの栄養素のほとんどは、一般的なマルチビタミンで補うことができますが、ビタミンCとナイアシンは通常のマルチビタミンではアルコール解毒目的としては、量的に十分でないかもしれないので、これらはそれぞれ、ビタミンCを2gとナイアシンアミドを250mg×2回を別に摂るのが良いでしょう。
アセトアルデヒドには依存中毒症をもたらす物質を生成するということは前述しましたが、このアルコール欲求を抑える働きのある栄養素がいくつかあり、具体的な臨床データ等も揃っています。たとえば、ビタミンB1(チアミン)を用いた動物実験では、ネズミをビタミンB1が欠乏した餌で飼うと、水よりアルコールを好むようになり、その後でビタミンB1を補うと、今度はアルコールより水を好んで飲むようになることが判っています。実際にアルコール中毒患者への点滴投与でビタミンB1は用いられていますが、習慣的に過度にアルコールを摂取する方もビタミンB1を1日100mg程度摂るべきでしょう。
L−グルタミンもまたアルコール欲求を抑えるのに適したサプリメントです。実際に10人のアルコール中毒患者を対象にL−グルタミンを与えた場合に、そのうち9人までアルコールへの欲求が減り、中毒による不眠症もやわらいだことが示されています。
■「ハングオーバー・フォーミュラ」
■「ビタミンB100コンプレックス」
日常的に摂っているマルチビタミンにこうした単体のビタミン・ミネラルを余分に補給するのもひとつの対策方法です。
■「ビタミンB-1(チアミン)100mg」
■「ナイアシンアミド250mg」
■「亜鉛50mg」
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