ツルニチニチ草の亜種である「ビンポセチン」は、強力でかつ自然に記憶力を高めるハーブで、集中力や注意力、その持続期間、認識力を高めることから、今もっとも注目を集めているサプリメントです。アメリカ国内でも処方箋なしでサプリメントとして手に入れることができるようになったのも最近のことです。
メディカルドクターであり「Mind Booster」(Sr. Martin’s、2000)の著者であるレイ・サヘリアン博士は、『ビンポセチンに関する実験では、ビンポセチンが血管を広げて脳における血流を高め、酸素吸収を良くし、血球をより柔軟にし、血小板の集合を抑制する働きがあることを示している』と発表しています。ビンポセチンは抗酸化剤としての要素も持っているのです。
ビンポセチンは血液をよりさらさらにする作用があるので、高脂血症やコレステロール値の高い方の体質改善にも寄与します。ビンポセチンの生体への働きは、脳への血流、酸素吸収を高め、血管を広げてより多くのブドウ糖を脳へ供給し、脳細胞の代謝を高め、血液の流れを塞いでしまう血小板の集合を抑えて、血液の凝固を取り払うことにあります。加えて、活性酸素を中和させる抗酸化栄養素としての効果です。前述のサヘリアン氏は、アテローム性動脈硬化症を持つ人におそらく効果的だろうと示唆しています。
ビンポセチンは血液をさらさらにするため、アスピリン療法をしている人や、コウマディン(Coumadin)やトレンタール(Trental)などによる血栓塞栓症治療をしている人は、医師のアドバイスなしでは摂取すべきではありません。処方箋薬でなくても、イチョウ葉エキスやニンニク、フォスファジル・セリン(PS)、そして多量にビタミンEを摂取するときなども、ビンポセチンと互いに影響し合うため、量的な加減が必要になります。また、妊娠中の人や重大な肝臓病や腎臓病を患う人がビンポセチンを摂取した場合の安全性はまだ確認できていません。疾病を患っている場合、投薬を受けている場合には、ビンポセチンに限らず、サプリメントを摂取する前にまず医師に相談することです。
エクイノックス健康療養センターの医師である、ピーター・デナン氏は、ビンポセチンを摂取する場合に、10rを1回の量として、1日2回摂ることを勧めていますが、患者によっては、もしそれが適当なら、量を増やしてもいいだろうとしています。ごくわずかしか副作用がないとはいえ、敏感な人には、ビンポセチンは吐き気や頭痛、胃腸の不快感の原因になるものとして認識されてきました。このようなことから、デナン氏は量を急激に増やすのではなく、吸収力を高め胃の不調を最小限にするために、食べ物と一緒に(つまり食後に)ビンポセチンを摂ることを勧めています。
ビンポセチンを摂ってから効果が表れるまでのスピードは、人によってかなり差異があります。血流に関する病気の重さや記憶喪失の程度に依存するのがその原因です。デナン氏によると、効果が表れるのは60日から90日の間としています。彼は通常患者たちに、少なくとも8週間は様子を見ることを勧めています。7日から10日以内で変化に気付くという人もいるようですが、もし改善がみられないようであれば、もっと時間をかける必要があります。
ビンポセチンはヨーロッパでは20年以上も使われ、安全で効果的なものであるということが知られています。ヨーロッパではカビントン(Cavinton)という名前で薬として、アメリカではサプリメント(栄養補助食品)として販売されています。日本では残念ながら、サプリメントとしても医薬品としても店頭にはまだ登場していませんが、同種のハーブであるビンカミンの食品としての流通が認められている現状を考えると、簡単にビンポセチンを手にすることができる日もそう遠くないような気もします。
将来的に「ぼけ」が心配になりだすような年齢になったとしても、ビンポセチンが記憶力を高める手助けをしてくれます。しかし、繰り返しますが、疾患中の場合には「どんなサプリメントを服用する時もその前に医師と相談をすること」というデナン氏のアドバイスには従ってください。また、サプリメントのみに頼るのではなく、運動をして、きちんと食事をし、頭を使い、十分な睡眠を取ることがいつまでも若々しい脳を保つ近道なのです。
■「ビンポセチン」
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