「ミネラル」と一括しても、セレニウムはその性質に関して、鉄や銅、カルシウム、マグネシウムなどの鉱物ミネラルとは異なっています。セレニウムは、グルタチオン・ペルオキシターゼやチオレドキシン・レダクターゼという高分子抗酸化酵素中に存在します。また、地球上では硫黄に伴って広く存在しますが、量はごく少ないそうです。人間が1日に食べる食物中に含まれるセレニウムの内、体内に吸収されるのは80%程度。吸収されたセレニウムは、体内の各組織で利用され、不要なものは尿とともに体外へ排泄されます。
第6次改定日本人の栄養所要量によって初めて決められたセレニウムの所要量(1日の必要量)は、約40〜60mcgとされています。ある研究では、調査を行なった26ヶ国の内、18ヶ国の成人にセレニウム不足が指摘されました。事実、セレニウムの摂取量は、土壌中の含有量に関係してきます。フィンランドのような氷河に覆われた土地が広がる北欧や中国の中央部、チベットなどでは土壌中のセレニウム含有量は低く、当然、その土地で育つ植物を食する人々にセレニウム欠乏症が見られます。セレニウムが不足すると、活性酸素に対する防御が整わず、いろいろな局面で細胞にダメージを与えることになります。心臓病やガンなどは、セレニウム欠乏症から起因する非常に恐ろしい病気です。また、過剰に摂り過ぎることも避けましょう。セレニウムは、ベータ・カロチンとビタミンEとの相性がよいので、一緒にとることをおすすめします。セレニウムを摂る際は、摂取目安量を守り、きっちり補うことで、抗酸化作用はさらに強まりますので、健康維持と老化防止にいっそうお役立て下さい。
<心臓の健康とガンの予防 >
セレニウム不足が心臓病の発病に何らか関与していると考える研究者もいます。抗酸化作用を発揮して、健全な血管や動脈の働きを促すとともに、心臓の機能を促進すると期待されているためです。また、ビタミンEと協力して、心臓を動かすエネルギーとなる補酵素Q10を生産し、狭心症や心筋梗塞を予防するのにも有用です。さまざまな心臓病を遠ざけ、心臓の健康を守るためにも、1日50〜150mcgのご摂取がおすすめです。
セレニウムは、SODと並んで抗過酸化カがある酵素、グルタチオン・ペルオキシダーゼの構成成分となり、この酵素が働くのに中心的な役割をもっています。このスーパー抗酸化酵素無くしては、排気ガスや有害重金属、化学性の発ガン性物質にたちまち私たちの体は汚染されてしまうのです。過去30年間で行われた100以上もの研究で、発ガン性物質に曝された動物にセレニウムを与えたところ、研究対象になった動物の3分の2に、腫瘍発生や前ガン細胞の成長のリスク減少が認められました。人間に対しても、疫学調査でセレニウムの血中濃度が低い人は、高い人に比べて、皮膚ガン、食道ガン、結腸ガン、直腸ガン、肺ガン、乳ガン、前立腺ガンの危険性が高いということが指摘されています。おそらく、セレニウムの補給によって、ガン腫瘍の進行ペースが遅くなることが関係していると思われます。
私たちの食事からセレニウムを補うには、肉類、牛乳、米、大豆、魚介類や海藻類をバランス良く摂ることが大切です。栄養の偏りがないお食事を続けられている場合には、まず不足はご心配ないと思います。反対に、加工食品や外食が多い方は、セレニウム不足にご注意下さい。お肌や毛髪を健康的に維持するために、そして目の老化と呼ばれる白内障の予防に、セレニウムはおすすめです。
■■「ビタミンE ウィズ
セレニウム」
セレニウムを摂る際は、ビタミンEをお忘れなく!
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