乳ガンは日本の女性では胃ガンの次に多いガンで、女性の30人に1人が乳ガンにかかっていると言われています。日本では1990年代以降、食生活の欧米化のためか、乳ガン発生率が倍増しています。
8人に1人が乳ガンを患うという米国の栄養学関連誌、2月2日号の「Nutrition」にワカメなどの海藻類に乳ガンの予防効果があるのではないかという研究報告が掲載されました。
研究の中心人物、カリフォルニア大学バークレー校公衆衛生学部の毒物学者Christine Skibola氏は、日本人女性が米国人女性よりも乳ガンのリスクが有意に低いことと、日常生活で海藻類の摂取量がはるかに多いこととの関係性に着目した結果、海藻類の摂取により乳ガン発生に関与する女性ホルモンの血中値を低下させることを突き止めたのです。
まず、Skibola氏は子宮内膜症などの疾患によって月経周期に極度の不規則性をみる女性患者3名を対象に、海藻類の健康補助食品を連日摂取させたところ、月経周期が延長し規則的になったほか、エストラジオール(エストロゲンの一種で、乳ガンの危険性を高めると考えられている)の血中濃度が低下したことを認めました。
その結果を踏まえて、雌のラット24匹を対象にワカメやコンブに類似したケルプ(海藻類)の摂取による影響を検討したところ、対象の雌ラットのうち37%に平均月経周期の延長が認められ、また、血中のエストラジオール値も試験開始時よりも低下しました。さらに、培養中のヒト卵巣細胞をケルプ抽出物にさらすと、細胞内のエストロゲン値が低下することも判明しました。
まだ、この結果はラットを使用した調査によるものなので、人間に応用することができるかどうかは明らかではありません。しかし、Skibola氏によれば現在、エストロゲン値に作用する海藻中の物質を特定すべく検討が進められており、将来その物質由来の薬剤の開発により乳ガン予防に一助となることが期待されるとのことです。
日本でも乳ガンが急増する中、どいつまでも健康でイキイキと暮らしていくために、乳ガン予防にマンモグラフィを使った検診を年に一度受け、偏りのない健康的な食生活を送る必要がありますね。
■「ケルプ」
■「フコイダン」
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